【為替】金利差との関係が復活した米ドル/円 | 吉田恒の為替デイリー


市場では推計式などを用いて「日米金利差が〇%になればドル円相場は▲円になる」といった試算を目にすることがありますが、これはあくまでも「日米金利差とドル円相場の関係がこれまでと変わらなければ」という注釈付きです。この点を踏まえた上で計算すると、足元の3.0%ptの日米5年国債金利差に対応するドル円レートは1ドル=136円29銭との結果になります。


第3は、金利差の変化が為替に与える影響も状況によって変化する点です。下段右の図の回帰係数は日米金利差が1%ポイント(pt)変化した場合に、ドル円相場はいくら変化するかを推計したものです(直近60ヶ月間のローリング推計)。足元で見れば日米金利差が1%pt縮小すれば、ドル円相場は12円程度円高となるとの結果になります。ただし、過去の推移を見ると、大きく上下に振幅していることが分かります。

(注1)日米金利差は米国5年国債利回り―日本5年国債利回り。相関係数(期間は60ヶ月)は2種類のデータの関連の強さを示し、値は+1から-1の範囲となり、+1に近づくと正の相関が強くなり、ゼロは相関が見られない。回帰係数(単回帰分析における傾き)はY=aX+bの回帰式においてXが1単位増えた時のYの変化分を示す。右軸は見易さのため表示を制限している。
(注2)データは月次で1985年12月末から2024年8月末。
(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成

円相場 一時1ドル=144円半ばに 日米の金利差縮小の見方後退で | NHK

日米10年債利回り差円劣位は一時4%まで拡大したが、それから最近にかけて1%以上も縮小した。最近とほぼ同じ水準まで日米金利差円劣位が縮小した2023年4月の米ドル/円は、130円程度の米ドル安・円高となっていた。それに対して、足下の米ドル/円はまだ140円以上の米ドル高・円安となっている(図表1参照)。

第2は、日米金利差(米国金利-日本金利)の拡大=ドル高円安、日米金利差の縮小=ドル安円高との関係が常に成り立つわけではないという点です。金利差と為替にどの程度の相関があるかは相関係数によって測定することができます。相関係数は+1から-1までの値をとり、+1に近ければ正の相関関係が強いこと、-1に近ければ負の相関関係が強いことを表します。下図の赤線で示したように、日米金利差とドル円相場の関係は、通常想定される相対的に米国の金利が高くなればドル高になるとの関係と、状況によっては真逆となることもあります。このような場合は、なぜ金利差が逆に作用しているのか、あるいは金利差とは全く関係のない要因が作用しているのではないか、といった点を見極める必要があります。

日米金利差と米ドル/円の関係が、2023年4月と最近で大きく異なっているのは、2024年に入ってから一時金利差変化から大きくかい離する形で、米ドル高・円安が進んだ影響が大きかったのだろう。

(注)データは日次で、直近値は2024年9月20日。日米金利差は米国5年国債利回り―日本5年国債利回り。
(出所)LSEGより野村證券投資情報部作成


【ドル円相場】156円台に下落、4カ月ぶり水準 日米金利差の拡大意識

第1は、状況に応じてドル円相場と連動性の高い金利差の年限が変化する点です。通常、「金利のある世界」ではドル円相場は3ヶ月から2年程度までの短期金利差と高い連動性を有します。一方で短期金利がゼロ%に張り付くような「金利のない世界」では、10年金利のようなより長期の金利差と高い連動性を有します。下図は日米の5年国債金利差とドル円相場を並べて描いたものです。2000年代半ばから2013年にかけてドル円相場は、日米5年金利差と高い連動性をもって推移していた様子が確認できます。

日米の金利差拡大でFXに注目!米ドル/円スワップポイント増加中!

ドル円相場は伝統的に日米金利差と連動性が高いことが知られています。特に日米金融政策の行方が市場の関心を集めているような状況下では、ドル円相場の先行きを予想する上で日米金利差が注目を集めやすくなります。ただし、日米金利差とドル円相場の関係から為替相場の行方を予測する上では、以下の諸点に注意する必要があります。

為替の予想をする際に「金利差」ってどう関係してくるの ? | マネー

米ドル/円と日米金利差の関係は、2024年に入ってから微妙に崩れ始めた。特に5月以降、両者のかい離は大きく広がった。米ドル/円は7月初めにかけて161円まで上昇したが、これは日米10年債利回り米ドル優位・円劣位が大きく縮小する中で起こったものだった(図表1参照)。

円高圧力強まるか FOMCで利下げ決定へ 日米金利差は縮小見通し

日米の金利差拡大が進む中、注目を集めているのが外貨預金とFX。どちらも外貨投資という点で共通する2つの商品。それぞれの特徴を6つの項目で比較しました。

円高圧力強まるか FOMCで利下げ決定へ 日米金利差は縮小見通し

米ドル/円のスワップポイントは、日米の金利差拡大にともない、受取額が大幅に増えています。

円相場 値下がり 米長期金利上昇受け日米の金利差拡大との見方 | NHK

これは、金利差円劣位が縮小したといっても、日米10年債利回り差円劣位が3%以上という大幅な状況は、短期売買を行う投機筋にとって円売りが圧倒的に有利なことには変わりなく、それが長期化していた影響が大きかったと考えられる。

【NHK】10日の東京外国為替市場、アメリカの長期金利が上昇したことを受けて日米の金利差が拡大するとの見方からドルが買われ、円相場…

FXでは高金利の通貨を買い、低金利の通貨を売ることで金利差分に相当するスワップポイントを得ることができ、一般的に金利差が大きいほどスワップポイントの金額が大きくなります。
取引所FX(くりっく365)の「米ドル/円」で、買いポジション(ドル買い/円売り)を保有することで、現在の日米の金利差によりスワップポイントを受け取ることができます。為替レートの変動で外貨を売買して差益を得ることに加え、金利差によるスワップポイントを受け取ることも、利益を狙う一つの方法です。

日米金利差縮小は微小にとどまりドル円は年末144円で着地 ..

この金利差変化からのかい離が広がった5月以降の米ドル高・円安をうまく説明出来そうなのが、投機筋の米ドル買い・円売りだった。CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、7月初めにかけて売り越し(米ドル買い越し)が過去最高規模に拡大したが、それは161円までの米ドル高・円安と強く相関したものだった(図表2参照)。

[PDF] 今後の為替相場の見通し 図表1. ドル円 図表2. 日米金利差

日米の対照的な金融政策により、22年3月以降、金利差が拡大しています。

日米金利差に回帰 「3%なら142円」の声(FXストラテジー)

実際に、日米10年債利回り差円劣位が3%以上もの大幅な状況が数年に渡り続いたことは、過去10年余りの間でも極めて異例だった(図表3参照)。それこそが、投機筋の円売りが極端に行き過ぎた動き、いわゆる「バブル化」した主因だったのだろう。

日米の金利差の拡大が意識され、低金利の円を売ってドルを買う動きが加速している。 ADVERTISEMENT

4月10日、日本銀行の総裁が10年ぶりに交代となりました。総裁は変わったものの、これまでの大規模な金融緩和策については、当面、継続する姿勢が示されています。一方、アメリカの中央銀行にあたるFRB(米連邦準備理事会)は、歴史的な物価高を抑え込む為、22年3月以降利上げを継続しており、この金利差拡大が「円安・ドル高」の要因となっています。

円安加速一時1ドル=158円台に迫る 日米の金利差拡大を ..

日米金利差米ドル優位・円劣位は5月以降縮小に向かったが、それでも10年債利回り差で見ると3%以上と大幅だった。短期売買を行う投機筋からすると、円買いに不利で円売りに有利なことは明らかだった。

円安加速一時1ドル=158円台に迫る 日米の金利差拡大を意識(2024年12月20日)

スワップポイントによる利益も課税対象となる
FXは利益に対し、他の所得と区分し、「先物取引に係る雑所得等」として、税率20%(所得税15%、住民税5%)で課税されます(申告分離課税)。FXの利益は「為替差益+スワップポイント-必要経費(手数料等)」により算出されるため、スワップポイントも課税の対象となります。