クラリスロマイシン錠200mg「CH」とクラリシッド錠200mg
別のクリニックで副鼻腔炎に対するクラリス少量長期間投与を始めて1週間。下痢が続くといって谷口医院を受診(初診)しました。どうしてそのクリニックで再診しなかったのかを尋ねると、CさんはHIV陽性だが、それが言える雰囲気ではないとのこと。抗HIV薬はエイズ拠点病院で処方してもらっている。そちらでは副鼻腔炎の相談ができず近所の耳鼻科クリニックを受診すると、クラリスを処方されたとのことでした。下痢はクラリスの副作用ですが、問題はこのことではなく「飲み合わせ」です。Cさんが飲んでいる抗HIV薬の一つはクラリスと一緒に飲んではいけないものでした。私はそれを説明して直ちにクラリスの服用を中止してもらい、エイズ拠点病院と連絡をとりながら副鼻腔炎は谷口医院で診ることにしました。
一方、【症例3】は、1、2とは異なる重要な問題をはらんでいます。Cさんの「HIVを言い出せない」という気持ちは理解できます。過去に述べたように医療機関でHIV陽性であることを伝えて診療拒否された例は少なくありません(参考:「」)。ですが、Cさんは飲み合わせについて考えていませんでした。クラリスとの飲み合わせが悪い薬は抗HIV薬以外にも、ぜんそくの薬、睡眠薬、高脂血症の薬、高尿酸血症の薬、抗真菌薬、てんかんの薬、C型肝炎の薬、ED改善薬、女性ホルモン……とてもたくさんあります。
さて、クラリスが多用されることで何が起こるか。最大の問題は「耐性菌」です。ピロリ菌1次除菌の失敗率が年々上がっているのはクラリス耐性株が増えているからであり、世界保健機関(WHO)が2017年2月に公表した「最も重要な薬剤耐性菌12種」の一つが「クラリスロマイシン耐性ピロリ菌」です(「」参照)。クラリスはマイコプラズマ肺炎の切り札の地位を長年維持していましたが、最近では半数以上がクラリス耐性と言われています。同じく切り札として用いられるクラミジア(クラミドフィラ)にもクラリス無効例が増えてきています。もちろん副作用も少なくありません(注)。
一般名のクラリスロマイシンから、クラリシッドと命名した。 2 ..
関東在住。大阪観光中に風邪をひいて太融寺町谷口医院(以下「谷口医院」)を受診。問診票の「今飲んでいる薬」の欄にクラリスとプレドニン(ステロイド薬の一種)の文字がありました。理由を尋ねると、なんと「声をよくするため」との答えが……。Aさんによれば、地元のクリニックでは「声が良くなる処方」とうたってこれらが“販売”されているとのこと。おそらく、クラリスとステロイド双方の抗炎症作用で声帯の炎症を取り除くことを目的としているのでしょうが、副作用のリスクを無視したとんでもない考えです。私は危険性を説明し直ちに服薬をやめるよう助言しました。Aさんも「そんな危険な薬とは聞いていなかった」とのことでした。
副鼻腔炎やピロリ菌の1次除菌で使われる限り、クラリスはこれからも大量に消費され続けます。ならば少しでも耐性菌のリスクを下げるために、社会全体で使用を最小限にしなければなりません。医師だけでなく一般の人にも今回述べたような知識を持っていてほしい、というのが私の願いです。
クラリスロマイシン(クラリシッド、クラリ)とは、呼吸器感染症の治療に幅広く使用される抗菌薬で、その効果は多くの臨床例で実証されています。
注:クラリスの副作用についてはが最も参考になります。医療者向けのものですが一般の方にもある程度は読めると思います。添付文書には薬の「飲み合わせ」についても書かれていますから合わせて参考にされるといいでしょう。また、現在多くの薬はネット上で添付文書が簡単に閲覧できます。これは一昔前にはできなかったことです。クラリスのみならず、自身に処方された薬のことは添付文書を読んで可能な範囲で理解につとめてほしい、そして分からないことはどんどんかかりつけ医に尋ねてほしい、というのが私の意見です。
クラリシッド (クラリスロマイシン) ケミファ [処方薬]の解説、注意
用時懸濁し、通常、小児にはクラリスロマイシンとして一日体重一kgあたり一五mg(力価)を二回に分けて経口投与する。なお、年齢、症状により適宜増減する。また、使用に当たっては、in vitroでMycobacterium avium complexに対して抗菌力を示す他の抗菌薬を併用するのが望ましい。
クラリシッド (クラリスロマイシン) ケミファ [処方薬] の ..
(1) 本製剤を後天性免疫不全症候群に伴う播種性マイコバクテリア感染症のために使用した場合は、本製剤を使用した患者に係る診療報酬明細書の審査、支払等に当たっては、当該患者の秘密の保護に十分配慮すること。
今回は抗生剤の中でも苦味が強いとされているクラリスロマイシンDSの味見を行いたいと思います。 ..
マクロライドの代表的な商品名(先発品)は、クラリス、ジスロマック、エリスロシン、ルリッド、ジョサマイシンなどです。これらのうち、最も有名でよく使用され、さらに「誤用」が多いのがクラリス(一般名は「クラリスロマイシン」、他の先発品に「クラリシッド」もある)です。今回は、なぜクラリスがそんなにも誤った使い方をされるのか、そしてそれによりどのような問題が生じているのかについて解説していきます。
クラリスとクラリスロマイシンとクラリシッドは全部抗生剤ですか? どの ..
(2) 本製剤を後天性免疫不全症候群に伴う播種性マイコバクテリア感染症のために投薬する場合に限っては、当分の間、厚生大臣の定める内服薬及び疾患等(平成六年三月厚生省告示第一一一号)の一の(一)の抗ウイルス剤に準じて一回三〇日分を限度として投与できるものとすること。
クラリシッドの効果とクラリス、クラビットの違い|小児への使用も
●クラリシッド錠 200mg、クラリス錠 200(クラリスロマイシン)
一般感染症、非結核性抗酸菌症、ヘリコバクター・ピロリ感染症
(適応菌種や適応症の詳細は、をそれぞれ参照)
高い除菌率と組織移行性が特徴の抗生物質で、クラリス錠やクラリシッドの同種同効薬です。
クラリスをはじめとするマクロライドの特徴のひとつは「抗炎症作用」があることです。つまり、単に細菌を退治するだけでなく、組織に生じた炎症を抑える働きがあるのです。この効果に期待してマクロライドが使用される例はたくさんありますが、最もよく使われるのが慢性副鼻腔(びくう)炎(蓄膿<ちくのう>症)に対する「マクロライド少量長期間投与」です。
クラリスロマイシン錠200mg「サワイ」(クラリス錠200/クラリシッド錠200mgのジェネリック医薬品)|沢井製薬
抗菌薬の乱用は現在、日本だけでなく世界的な課題となっていることは、これまでお伝えしてきた通りです(例えば「」)。抗菌薬を処方するのは医師ですから、こういった問題は一般の人には関係のないことと思われるかもしれませんが、海外の薬局では誰でも簡単に抗菌薬を買えますし、個人輸入で気軽に購入している人も少なくありません。また、家畜産業での抗菌薬大量使用についても知っておくべきであることも述べました。
クラミジア感染治療におけるクラリスロマイシンの除菌率は90.9
患者はこれまで何度か感冒時にクラリス錠が処方されていたが、今回は、非常勤医師よりクラリシッド錠が処方された。
投薬時、薬剤師はクラリス錠とクラリシッド錠は同じ成分でメーカーが違うと説明した。すると、患者は、クラリス錠を服用すると咳込む感じがあったが、別の病院で処方されたクラリシッド錠では特に問題なく、風邪の咳も早く治ったため、医師に訴えて、クラリシッド錠を処方してもらったと述べた。
患者よりクラリス錠とクラリシッド錠の作用の違いを聞いた薬剤師は、一応、メーカーに確認したところ、両剤は全くの同一成分、同一添加物で、同じ工場で製造しており、印字のみが異なることがわかった。
医療用医薬品 : クラリシッド (クラリシッド錠50mg小児用)
その後、患者に詳しく話を聞いたところ、クラリス錠の方がクラリシッド錠より薬価が安いので(75.1 vs 77.4、平成28年4月改定時)、クラリス錠はクラリシッド錠のジェネリック医薬品だと思い、効き目も違うと思っていたことがわかった。
当該患者は、もともと薬に対して神経質であり、ジェネリック医薬品への代替調剤を希望しない患者であった。
[PDF] マクロライド系抗生物質製剤 日本薬局方 クラリスロマイシン錠
一般感染症1日400mg,2回分割経口投与。非結核性抗酸菌症1日800mg,2回分割経口投与。以上,年齢・症状により適宜増減。ヘリコバクター・ピロリ感染症1回200mg,アモキシシリン水和物1回750mg,プロトンポンプインヒビターの3剤を同時に1日2回,7日間経口投与。クラリスロマイシンは必要により適宜増量可。ただし1回400mg,1日2回まで。
メディサ, クラリスロマイシン錠200mg「EMEC」, 19.2 ; 沢井製薬, クラリスロマイシン錠200mg「サワイ」, 22.8.
医薬品の販売促進の手段の一つに、コ・プロモーション(Co-promotion)と呼ばれるものがある。通常、新薬を開発した企業が販売力の強い企業と提携し、共同して販売活動をすることにより、短期間に製品の認知度を高め、市場シェアを伸ばすために行われる。具体的には、複数の製薬企業において、同じ医薬品を並行して販売促進するケースが少なくない。実際の販売においては、一つの商標で片方の企業が開発を担当し、販売促進活動を両社共同でおこなうというもので、会社間の業務提携の一つである。
また、複数の製薬企業において、同じ医薬品を別々の商標で並行して販売することもある。コ・マーケティング(Co-marketing)と呼ばれる。今回の事例はこれに相当する。
例えば、併売品には以下の様な例があるが、自薬局における採用品だけのチェックでは不十分であることから、知識としてある程度網羅的な組みあわせのチェックを常に行っておく必要がある。
的に同等と判定された。このことから、溶出率の違いは血中濃度に反映されず
私は慢性副鼻腔炎にクラリス少量長期間投与を行うべきではない、と言っているわけではありません。ですが、あまりにも簡単に処方されすぎていないか、または漫然と続けられていないか疑問に感じる症例にときどき遭遇するのは事実です。また、過去にピロリ菌の除菌は全例に実施すべきでないのでは?と述べました(「」)が、除菌実施数は年々増加しています。そしてその1次除菌で使われる3種の薬剤にはクラリスが含まれています。つまり、クラリスは多くの場面で積極的に使用されており処方量は年々増加しているのです。処方例が増えた結果起こることは何でしょう……。これを述べる前に、いくつかのクラリスの「明らかな誤用」を紹介したいと思います。
抗菌薬ジェナニックとクラビットの違いを、薬剤師ライター・加藤哲也氏が解説。クラビットよりジェニナックのほうが細菌作用は強いといえます。
薬学者。東京大学薬学部卒業。その後、米国国立衛生研究所研究員、東京大学医学部助教授、九州大学大学院薬学研究院教授、東京大学大学院情報学環教授を経て、現在、東京大学大学院薬学系研究科客員教授。更に、NPO法人 医薬品ライフタイムマネジメントセンター理事長・センター長。著書には「ポケット医薬品集2024」(南山堂,2024年)、「処方せんチェック・ヒヤリハット事例解析 第2集」(じほう,2012年)、「ヒヤリハット事例に学ぶ服薬指導のリスクマネジメント」(日経BP社,2011年)、「処方せんチェック虎の巻」(日経BP社,2009年)、「薬学と社会」(じほう,2001年)、「薬を育てる 薬を学ぶ」(東京大学出版会,2007年)など他多数。