英ポンド/米ドル(GBP/USD) 4時間足 FX為替レート・チャート
為替市場における英ポンドの取引高は、米ドル、ユーロ、円に次いで第4位と流動性が高く、取引に対する規制もありません。経済指標、政治関連報道など投資に関わる情報を手に入れやすいことも有利な条件と言えます。主要国の中では、歴史的に金利が高い傾向にあるので、金利面を重視する場合には有力な選択肢となります。
2024年6月、ECB (欧州中銀=ユーロ) が9ケ月据え置いた政策金利を引き下げたこともあってBOEの金融政策委員会が注目されていましたが、据え置きが決定されました。声明文では「労働市場は歴史的に見て非常に引き締まったままで、サービス価格は想定よりも高い」とされ、利下げ開始時期についての明言が避けられたことから英ポンドは堅調に推移しています。
同じ欧州の通貨であることから、英ポンドはユーロと似たような値動きをする傾向がありますが、ユーロに比べると変動幅が大きくなりやすいのが特徴です。これまでも投機的な売買によって短期的に相場が激しく動くことがありました。そのため、英ポンド預金のタイミングを探るうえでは、金利とともに値動きに注意が必要でしょう。タイミングが合えば、金利と英ポンドの値上がりの双方で有利な投資となります。
イギリス・ポンド/USドルの為替レートの推移(1980~2024年)
この間2024年3月、日銀金融政策決定会合で「賃金と物価の好循環を確認し、2%の物価安定の目標が持続的・安定的に実現していくことが見通せる状況に至った」として、2013年から続けてきた異次元緩和が終了され、約17年ぶりとなる利上げが決定されました。しかし植田日銀総裁が今後の金利の引き上げペースに関して「急激な上昇というのは避けられるとみている」と述べたことなどから、緩和的な金融政策が継続されると見られています。
いち早くコロナとの共存を選択し経済回復を重視している英国ですが、ロシアによるウクライナ侵攻が予想以上に長期化して、その影響が多岐にわたって経済の回復が妨げられれば、期待感とのずれから影響を受ける可能性があるので注意が必要です。また2020年1月に正式にEUから離脱した英国ですが、EUと結んだ「離脱協定書」の一部をいまだに争っていることから、今後経済的、政治的に結びつきの強いEUとの関係をめぐって、短期的な変動要因となる可能性があります。変動幅が大きいだけにリスクにも注意が必要です。
金利引き上げ開始以降堅調に推移していたポンドですが、ジョンソン首相 (当時) がコロナ禍における自粛期間中に首相官邸などで複数回のパーティーを行っていたことなどから、2022年7月辞任に追い込まれました。その後就任したトラス前首相が、目玉の経済政策での迷走などで通貨安、債券安、株安のいわゆる「トリプル安」を招き、英金融市場が大混乱となって、史上最短の就任から50日での辞任表明となりました。しかしトラス前首相の後任に、投資銀行やヘッジファンドなど金融業界での経験が豊富で、経済政策に強いと見られるスナク元財務相が就任したことで政治的な混乱が収束し、英ポンドは2022年末頃から回復に転じました。その後も金利引き上げが続いた英ポンドは、主要国で唯一緩和策を続けた円に対し堅調な値動きが続き、2024年4月には2008年8月以来約16年ぶりに200円台に乗せました。
歴史的に金利が高めなことから、利上げ局面でBOEのMPC (金融政策委員会) による今後の経済見通しや、金利引き上げの見通しに注目が集まります。
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2016年6月に、英国のEUからの離脱が国民投票により決定しました。事前には離脱の影響への懸念が強まる場面もありましたが、2020年1月31日の離脱実行が成長率などに与えた影響は限定的なものとなりました。その後2020年前半には新型コロナウイルスの感染拡大を受けて景気が急速に悪化しましたが、2021年の実質GDP成長率は7.4%と第2次大戦以降最大のプラス成長となりました。その一方、エネルギー・食料品相場が大きく上昇し、インフレが高進しました。そこで、英国の中央銀行であるBOEは2021年12月16日、政策金利を0.15%引き上げ年0.25%にすると発表して利上げを開始し、その後2023年8月までに、2008年以来となる5.25%まで引き上げられました。
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また、2024年6月現在、ロシアによるウクライナ侵攻の長期化による英国経済への影響が引き続き懸念されています。
ポンド/ドル, 1.25340, 1.25350, 1.0, -0.00336, 7,865, 0.00, 0.00
分析によれば、米連邦準備制度の利下げは主に短期金利に影響を与え、一方で住宅ローン金利は長期債券の満期利回りとの関連性が高いです。経済が停滞し、高インフレが続く中で、10年物の満期利回りが5%近くまで急騰するにつれて、住宅ローン金利もさらに上昇する可能性があります。
イギリス・ポンド/USドルの為替レートの推移(2021年1月~2024年11月)
2006年から2007年前半までの英ポンド / 円相場は、ユーロ / 円相場同様、日本に比べて英国の政策金利が高かったことなどから、ポンド高・円安基調が続き、一時は1ポンド=250円越えの水準まで上昇しました。しかし、2007年秋にサブプライムローン問題が深刻化すると、一転してポンド安が進み、2008年初めまでに1ポンド=190円台まで下落しました。さらに2008年9月にリーマンショックが起きると、英国では金融業が経済の中で重要な地位を占めていたことからポンド売りが強まり、2009年初めには1ポンド=120円割れまで急落しました。その後ユーロ圏ではギリシャ債務危機が発生しましたが、英国には直接的な影響が少なかったこと、ユーロ圏に比べて英国の経済回復は早かったことから、アベノミクスによる円安と相まって英ポンド / 円は2015年半ばには1ポンド=195円超へポンド高が進行しました。
2015年後半からは、英国のEUからの離脱の是非を問う国民投票の実施に伴って、不透明感と離脱による悪影響の懸念が高まったことからポンド安の動きとなる中、2016年6月にEUからの離脱が決定しました。決定直後には一段とポンド売りが強まって2016年10月に1ポンド=120円台前半までポンド安が進みました。しかし売りが一巡したあとは反発して1ポンド=140円台から150円台の取引となりました。
その後、英国の合意なきEU離脱の懸念や、ユーロ圏の景気への不安などを受けて英ポンドは2019年半ばに再び1ポンド=120円台まで下落しました。
いったん1ポンド=140円台まで反発したものの、2020年に入るとコロナ禍による景気後退の懸念でポンド売りが強まって、再び1ポンド=120円台まで反落しました。しかし、英国がいち早くコロナとの共存を選択したことからポンド / 円は上昇に転じました。2022年2月にロシアによるウクライナへの侵攻が始まりましたが、直接的な影響は限定的とされたこと、エネルギー価格の急上昇は北海油田を持つ英国は産油国の一角を占めることなどから好材料となりポンドは堅調に推移し1ポンド=168円台まで上昇しました。
2022年9月、トラス前首の経済政策での迷走などで、英ポンド / 円は一時150円割れまで急落。スナク元財務相の首相就任で英ポンド / 円は底打ちしました。その後2023年には全般的に円安が強まったこともあり、2024年4月に1英ポンド=200円台へと急速に上昇。その後も堅調に推移しています。ただし、近い将来の利下げ開始の可能性は高いと考えられています。
ポンドドル下落継続ならドル円100円割れ・為替介入も? | 高島修
2008年9月に発生した金融危機 (リーマンショック) は2009年には世界同時不況をもたらし、英国経済も大きなマイナス成長となりました。これに対応して英国の中央銀行であるBOE (イングランド銀行) が急速な金融緩和を行ったことで回復基調となりました。2009年後半からギリシャ債務危機を発端にユーロ危機へと発展し、ユーロ圏経済は再びマイナス成長に陥りましたが、英国経済は緩やかな成長を続けました。
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