世界の中銀、外貨準備の「武器化」懸念-ドル離れのリスクに拍車も
常に80%弱を誇っていた2000年代初頭と比較すれば、四半世紀を経て外貨準備運用の世界に新しい潮流が根付いているのは間違いない。
2020年12月末以降、ドル比率は2022年9月末を除いた14四半期で60%を割り込んでいる。2020年12月末時点で60%を初めて割り込んだ際は大きなニュースになったものだが、もはやそれが新常態になっている感はある。
この背景として、「ロシアのウクライナ侵攻以降、西側陣営による各種制裁が長期化することで、外貨準備運用における非ドル化の機運が定着している」という説は常々指摘されているが、それだけとは言い切れない。
世界の中銀、外貨準備の「武器化」懸念-ドル離れのリスクに拍車も ..
ただ、実際は今回のCOFERデータで目を引いたのはドル比率の低下だった。2024年6月末時点のドル比率は前期比▲0.70%ポイントの58.22%と、2023年12月末時点に記録した史上最低値(58.42%)を更新している。
世界の外貨準備は、2024年6月末で前期比▲36.2億ドルの12兆3474億ドルと微減だった。今年4~6月期に関して3月末と6月末で比較すると、名目実効ドル相場(NEER)は約1.8%上昇した。その分、世界の外貨準備に占めるドル比率は価格効果もあって嵩上げされた可能性が推測される。
9月30日、IMF(国際通貨基金)から外貨準備の構成通貨データ(COFER)が公表された。為替市場を中長期的に展望するにあたって重要なデータであるため、筆者は定期的に観測している。
IMFが発表した外貨準備の構成通貨データ(COFER)を見ると、ドルの比率は58.22%と過去最低値を更新した。そんなドルの代わりに台頭しているのが、カナダドルや豪ドル、人民元である。堅調なドル相場をよそに、外貨準備でのドル比率の低下は何を意味しているのだろうか。(唐鎌 大輔:みずほ銀行チーフマーケット・エコノミスト)
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つまり、トランプ新大統領は、諸外国に対して一種の行動変容を強制するための手段として、関税を引き上げるという手段を用いていることになる。ではトランプ新大統領が、100%の関税を課すことでBRICSに対して何を求めているかというと、とりわけロシアを中心に議論が進んでいる「ドル離れ」の試みを止めることに他ならない。
民間部門が金利差で動いているのに対し、公的部門では、ドル持ちすぎの警戒感から、ドル離れが進行中だ。
トランプ新大統領が関税を強化する理由は、貿易赤字の是正と国内雇用の確保にあると考えられる。関税の強化をチラつかせることで、諸外国の企業が米国に拠点を移転し、雇用を生み出すことを期待しているのだろう。またカナダに対しては、特定の合成麻薬が米国に流入することを防ぐ観点からも、関税の発動をチラつかせている。
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年明けに就任する米国のトランプ新大統領は、SNSであるXの自身のアカウントで、ドル離れを進めようとするBRICSに対して、100%の輸入関税を課すと表明した。先にトランプ大統領は、諸外国からの輸入品に対して10から20%の関税を課す方針を表明していたが、カナダやメキシコの輸入品には最大で25%の関税を課すとしていた。
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近年、BRICSやそれに近しい新興国の間では、米ドル以外の通貨を用いて貿易・金融決済を行うこと、すなわち「ドル離れ」の議論が活発化している。米ドルではなく双方の通貨を用いた決済が奨励されており、それに加えて、いわゆる中銀デジタル通貨(CBDC)の仕組みを用いた独自の決済網を整備しようという構想も議論されている。
【10月7日 AFP】湾岸諸国が原油のドル立て取引の中止を検討しているとの報道を受け、ドルが下落している中、金価格が高騰している。
1回は2002年6月末に前期比3.14%ポイント、もう1回は2009年6月末に同2.37%ポイント、それぞれ低下している。いずれの期間も大幅なドル安が進んでいた。名目実効ドル相場で見ると、2002年4~6月で2.6%下落し、2009年4~6月で4.2%下落している。今回の2020年10~12月も3.4%下落した。ちなみに2020年通年では3.6%下落しているので、10~12月期に進んだドル安はとりわけ大きなものだったことがうかがえる。外貨準備におけるドル売りがなくとも、ドル安が進んで残高に占めるドル比率は低下する。
「ドル離れなら関税100%」 | 日本海新聞 NetNihonkai
ドル比率がほぼ過去最低並みになった背景には何があるのだろうか。これを機に世界の外貨準備の現状と展望を整理してみたい。結論から言えば、今期のドル比率低下に関してはドル安による部分が相当大きいと推測される。過去を振り返ってみると、3カ月間で今回以上にドル比率が低下したケースは四半期データが入手可能になった1999年以降で2回しかない。
トランプ氏、ドル離れを図る中国やロシアなど主要新興国をけん制。「ドル離れなら関税100%」
特筆すべきは残高に占めるドル比率の低下で、2020年12月末は59.02%と前期比1.47%ポイントも下がった。1995年の58.96%以来、25年ぶりの低水準である。ちなみにCOFERが四半期ベースで構成比を公表し始めたのは1999年以降なので1995年は年次データ。なお、今回はドルも含めて数年ぶりの動きが目立っており、小数点第2位まで見ることで「いつ以来か」をはっきりさせることができる。平時は小数点第1位までで議論しているが、今回はあえて第2位まで含めてみた。
「ドル離れなら関税 100%」 トランプ氏、中国やロシアけん制
IMF(国際通貨基金)が3月31日に公表した外貨準備の構成通貨データ(COFER)は為替市場を中長期的に展望するにあたって大変興味深いものだった。世界の外貨準備高は2020年12月末で12兆7000億ドルと9月末から4544億ドル増加した。水準としては過去最大である。後述するように、2020年は「ドル安の年」だったので、ドル建て換算額がかさ上げされた分も大きいと考えられる。しかし、重要なことは残高の水準ではない。
1人当たりの名目GDP ドル換算で初めて韓国下回る 円安影響か | NHK
2006年11月29日
―本稿は八戸にて執筆中。今日は"北東北"初のゴールドセミナー。主催は青森テレビ。女子アナとの掛け合い。最近は初心者が多いから、こういうトーク形式になることが多い。全く金など考えたこともないお嬢さんの新鮮な発想に驚かされることもしばしば。先日は、女子アナから"私の父が私のために純金積立やってます"というできすぎみたいな本当のエピソードも飛び出した。ここでもマーケットの裾野の広がりを感じる。
さて、欧米のマーケットの話題は専らドル安。感謝祭の期間中に、流動性の薄いところで値が大きく飛んだ。今回のドル売りの特徴は3つ。
1.とにかくユーロが買われている。対ドルで1.30の大台を突破し、1.31、1.32と更に上を窺う気配にマーケットが驚いている。
2.理由は金利差。これまでの金利差要因といえば、ドルの相対的金利高によるドル買いを意味したが、今回は違う。ドル金利動向はどう見ても、利上げ打ち止め模様。経済統計の出方次第で利下げ転換も視野に。一方、ユーロは12月に3.50%へ利上げ。トリシェの発言次第で、来年も更なる利上げ継続も視野に。そして円は、日本経済がもたついているとはいえ、基調はゼロ金利解除から緩やかな利上げが視野に。こうなると、世界的に米ドル金利だけが下の方向を見ているのだ。マーケットは常に先取りして動くもの。そこでドルが売られる。ユーロに買いが集まるのは、円=日本経済より欧州経済のほうが"マシ"に見えるからかな。日本経済がもたついているので、本格的ゼロ金利脱出のタイミングを計りかねている。そこで今の外為市場を支配している価値尺度は"減点パパ"方式だ。日米欧経済どれをとっても"良好"とは言いかねるので、マイナス評価点が最も少ないと思われるユーロが相対的に浮上している。
3.民間部門が金利差で動いているのに対し、公的部門では、ドル持ちすぎの警戒感から、ドル離れが進行中だ。実は、この話、この時期になると何故かマーケットを駆け巡る。本欄のアーカイブを見ても、 2004.11.29 中国、ドル資産減らし、金準備増強の可能性 2005.11.24 プーチン金準備増強発言 ここでも、ドル離れしたマネーの次の宿はまずはユーロ。 でも、その全てを吸収するだけの受け皿ではないから、金へも多通貨分散してくる。
さて、その売られているドルの発券国、米国の経済だが、マーケットは日々、バーナンキの物言い(どういう形容詞や副詞を使って表現したかという英文解釈合戦)、そしてマクロ経済データの解釈に揺れている。ポイントは、住宅市場のハードランディングを回避しようと思えば、利下げ=ドルの価値の下落は避けられない。余り急速にドル安が進行すると、民間、公的両部門に亘ってドル離れが加速してしまう。そうなったら、アジアマネー、オイルマネーに代わって、誰が双子の赤字の面倒を見てくれるというのか。結局は、国際基軸通貨発券国としての金融節度は守れず、FRBは造幣局の輪転機を廻すことになるのでは、という語り尽くされた疑念が再びアタマをもたげる。ここに、ドル離れの原点があるのだね。
【NHK】内閣府によりますと、日本の1人当たりの名目のGDP=国内総生産がドル ..
ロシアによるウクライナへの軍事侵攻と、それに対抗する経済制裁。世界を一つにしようとグローバル化を推し進めてきた欧米諸国による制裁が、分断へと歯車を逆回転させています。制裁という「剣」を突きつけられているのは、グローバル化の方かもしれません。ロシアマネーが流れ込むアラブ首長国連邦(UAE)、長年制裁下にあり「ロシアの先を行く」と言われるイラン、ウクライナ侵攻後に変化が起きたアメリカ・テキサス州の油田など現場を歩きました。(イラストは上林哲史氏。7月3日から順次配信します)
これをもって世界でドル離れが進んでいるとする論調もありますが、いずれにせよ、構造的に金価格が上がりやすい状況であるのは間違いないでしょう。
そうした点から考えれば、米国がトランプ政権のようにひどい政策をとらない限り、この先30~40年はドルが重要な国際通貨の一つであり続けるでしょう。ドルの影響力は低下し、人民元のシェアは増えているかもしれませんが、ドルに取ってかわる存在にはなりません。中国には自由で開かれた資本市場がなく、何より民主的な政府をもっていないからです。ドルのかわりに特定の通貨が基軸通貨になるというのではなく、複数の通貨が役割を担うということになるのではないでしょうか。
Barry Eichengreen 1952年生まれ。米国を代表する経済学者の一人。ハーバード大准教授、国際通貨基金(IMF)シニア政策アドバイザーなどを歴任した。著書に『とてつもない特権 君臨する基軸通貨ドルの不安』(勁草書房)など。