[PDF] 2022 年の円/米ドル相場の振り返りと 2023 年の展望
その後、ドル円の為替相場は、1995年4月に一時79円75銭というレートをつけるほどの強烈な円高となる。ここでは、1995年から2022年現在までに至る約27年の間に見られた為替レートの節目を確認しておきたい。
1995年以降、これまでに最も円安となったのは1998年7月で、当時は1ドル=144円63銭まで急落した。わずか3年前の1995年に、ドル円は80円を割るほど円高となっていたため、その揺り戻しが大きく出たと見ることができるだろう。当時、日本では大手金融機関が相次いで破綻しており、日本経済の先行きへの不安が大きくなっていた時期。日本政府は2兆円以上の円買い・ドル売りの市場介入も行って、何とか円安を抑え込んだのだった。
その後も2度ほど円安になる局面はあったが、2022年の円安と背景が近い“2015年の円安”は興味深いだろう。2012年には70~80円台だったドル円相場が、2015年6月は125円86銭まで円安に振れた。米国では2015年12月に9年半ぶりとなる利上げが行われ、その後2018年12月まで断続的に利上げは続いた。一方、日本はその間、黒田日銀総裁が「異次元緩和」と称して強力に金融緩和を押し進めた。こうした金融政策の違いが強烈な円安につながったと考えられる。
USドル/円の為替レートの推移(2021年1月~2024年11月)
過去、最も円高となったのは、2011年10月末の1ドル=75円32銭だ。欧州債務問題やリーマンショックの後遺症で欧米経済が苦しい中、2011年3月には東日本大震災があった。リスクを避けたいマネーが円に流れ込み、いわゆる「有事の円買い」が円を押し上げた。
Ccy code / 略称はS.W.I.F.T.通貨コードによる
年間平均は、各通貨の月中平均相場の単純平均(月中平均の合計/12ヶ月)
*:TTB is for reference only / TTBは参考相場
**:For reference only / 参考相場
***:CNY Rate is set based on the Offshore Renminbi Market/オフショア人民元相場に基づく公表相場
Final official quotation by MUFG Bank, Ltd., Tokyo / 三菱UFJ銀行の最終公表相場による
2022年10月に32年ぶりの円安ドル高となりましたが、円安が進む際に日本の財務省要人はこのように発言していました。今年も再び円安が進行し、財務省要人から「過度な変動は好ましくない」「必要があれば適切に対応する」との発言が出ています。
2022年から2023年6月までのドル円相場を振り返ると、中央銀行の金融政策に強く影響を受けてきたと言えるでしょう。図1は、昨年から今年6月末までのドル円相場と米2年国債利回りの推移を示したものです。両者が似たような動きをしていることが見て取れます。
2022年為替相場、1ドル120円台突破の「円安危機水域」入りを要警戒
しかし、2022年の円安では、ロシアのウクライナ侵攻という「有事」にもかかわらず円高となっていない。なぜだろうか。理由は1つではないだろうが、大きな要因として考えられるのが、日本の製造業による海外への直接投資が進んだことだろう。
円売り・ドル買いが先行し、円相場は一時1ドル=157円85銭付近と、7月中旬以来約5 ..
2年金利は、金融政策の影響を強く受ける傾向があるため、両者が似たような動きをしていると言うことは、ドル円相場が米国の金融政策に対するマーケットの思惑に連動しているということになります。
第35回「ドル円相場の8月アノマリー」 | 知るほどなるほどマーケット
為替レートには多くの要因が影響し、先行きを予想することは簡単ではない。このため、過去の推移を参考にする人は多い。実際、過去に節目となった高値や安値の為替レートは、多くの市場参加者にとって1つの目処となりやすく、そのため、その節目の為替レートが相場の転換点となることも少なくない。過去のドル円相場の歩みや背景を知っておくことで、相場の流れをつかみやすくなるだろう。
26日の東京外国為替市場の円相場は、午後5時現在1ドル=157円37~37銭と、前日(157円01~04銭)に比べ36銭の円安・ドル ..
少し話は脱線しましたが、昨年から今年6月までのドル円相場を振り返ると、円高ドル安に動く場面も見られました。昨年11月に米CPIの伸び率が鈍化し、FRBの利上げ幅が縮小するとの観測が台頭したところから、12月に日銀が長期金利の変動幅を拡大し、長期金利の上昇を事実上容認した局面では、1ドル145円前後から130円前後まで円高ドル安となりました。その間の米2年国債利回りは横ばい傾向でしたが、将来の利上げ打ち止めが視野に入ったことが背景と見られます。
ドル円相場、下半期大荒れ 1%超の騰落続出 2025年の見通しは?
第2次世界大戦後のブレトンウッズ体制においては、当時は唯一の安定通貨であった米ドルを基軸通貨とする「固定相場制」が敷かれていた。例えば日本円の場合、1ドル=360円といったように為替相場が固定されていたのである。
足元では、急激な円高が進行した年半ばまでのドル円相場が一転して円安傾向で推移し、輸入.
昨年秋の円安局面も今年夏の円安局面も、ドル円相場の主要テーマは日米中銀の金融政策の格差である点は共通しています。しかし、今後どこまで円安が進むかを検討する上では、相違点を整理しておく必要があるでしょう。
金利から見た2025年のドル円相場のイメージを明示しておきたいと思う。 まず ..
まず注目したいのが、貿易収支の状況です。日本の通関統計の輸出超過額を前年同月と比較すると、2022年は資源価格の高騰などで貿易赤字が拡大する傾向が続きましたが、今年4月・5月の赤字幅は前年同月よりも縮小しています。貿易収支が赤字なのは同じですが、赤字幅縮小は貿易による円売り圧力が低下していることを意味します。
【金融政策決定会合のポイント】1ドル=160円 ドル円は ..
2022年の円安阻止介入の第1回目は9月22日、1米ドル=145円程度で行われた。この介入の実施は、9月8日の財務省と日銀、金融庁の三者会合までに決まっていたのではないだろうか。
アメリカ ドルと日本 円のレートを計算| 2022年 為替相場
2022年の米ドル高・円安のピークは、2022年10月21日に記録した151円だった。歴史的円安に終止符を打ったのは、この日行われた日本の通貨当局による米ドル売り・円安介入だったとの理解が一般的なのかもしれない。
米ドル (USD) から 日本円 (JPY) の為替レート 2022年6月9日
以降、約1ヶ月で合計3回の介入が実施された。この介入に対する相場の反応は基本的には似たものだった。介入が行われた当日に最大で5円前後の米ドル急落が起こった。ただ引けにかけては米ドルが比較的大きく反発し、2円前後の長い「下ヒゲ」が残った。
例えば、今から10年ほど前は1ドル=80円前後で推移していました。
それにしても、上述のCPI発表後も米金利低下は限られた。そもそも、2022年11月初めのFOMC(米連邦公開市場委員会)を受けて、米金利は一段と上昇する見通しとなっていた。この結果、米ドル急落はそれまでとは異なり、米金利と大きくかい離する形で広がった(図表2参照)。
今年のマーケットを振り返る4 為替市場 ドル円は32年ぶりの円安
2022年になって急激に対ドルで円安が進み、ドル円の為替レートはどこまで行くのかと気をもんでいる人は多いだろう。過去を振り返ると、為替レートは上下どちらにも大きく変動しており、その程度も、期間もさまざまだった。今回、2022年3月頃に端を発する円安がどこまで進むのか確実に予想する方法はないが、過去にどのようなドル円の動きがあり、その背景には何があったのか見てみることは、決して無駄にはならないだろう。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング | 前年の年末・年間平均 2022
では、なぜそれまでと異なり、米金利からかい離する形で米ドル急落が起こったのか。それは、行き過ぎた米ドル買い・円売りの反動の影響が大きかったのではないだろうか。ヘッジファンドの取引を反映しているとされるCFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の円ポジションは、当時10万枚以上の売り越しとなり、経験的に円の「売られ過ぎ」懸念が強い可能性を示していた(図表3参照)。それが逆流、米ドル売り・円買いとなったことで、米金利との関係を超えた米ドル急落が起こったのではないか。