ドルを武器化するトランプ氏、BRICSへの無用な挑発になる恐れ
「トランプ・トレード」でドルは上昇、トランプ政権下でのドル円下落の展開はあり得るのか
当面、ドルはトランプラリー継続から堅調な動きを見せると見られるが、ここからのドル買い円売りの選択はかなりのリスクを伴う。
トランプ相場でドル高円安進行も、円高トレンド転換で25年前半に「140円割れ」の理由
トランプ円安が突き進む ~1 ドル160 円を目指す展開~ | 熊野 英生
ただ、投資対象として考えた場合、ここからのドル買い円売りはかなりリスクが高い。輸入物価への影響などもあり、財務省など日本の通貨当局は為替介入などで円安を抑えにかかるだろう。トランプ次期大統領が米製造業のためにドル安を志向しており、介入が入りやすくなっているという見方もある。
円安進行が目立ってきている。トランプ当選で地殻変動が起きている。財政悪化の観測が、米長期金利を押し上げている。FRBの利下げについても、2025年にかけては進めにくいと予想される。日米金利差の拡大は、ドル高・円安要因である。今後、これに対抗しようとする日本の通貨当局の口先介入と、日銀の追加利上げはどうなるだろうか。
ドル円はトランプ氏優勢が報じられた9月終盤からドル高円安が進んだが、選挙戦直前になってハリス氏の巻き返しが報じられたことでいったん調整売りが入った。結局トランプ氏が圧勝したことで再びドル高円安となっている。トランプ氏は前回以上に対外強硬姿勢を強めており、高関税の実施などの可能性が強まる中で、ドル高円安がもう一段続く可能性が高い。
この結果を受けて金融市場ではトランプラリーと呼ばれるドル高米株高が進んでいる。トランプ氏が掲げる減税・規制緩和・高関税などの施策が現実化すると、米国内での物価上昇が見込まれ、利下げペースの鈍化などを招いてドル高になるという見方である。2016年の米大統領選でトランプ氏が勝利した際、1カ月ほどで17円超のドル高円安となるなどドル高が進んだこともトランプラリーを支えている。
【NHK】アメリカ大統領選挙でトランプ前大統領の当選が確実になったと伝えられたことを受けて、外国為替市場では円相場が一時、1ドル=…
11月5日に投開票された米大統領選挙で共和党のドナルド・トランプ前大統領が勝利した。「米国第一」を掲げるトランプ氏の復権は、米国経済はもちろんのこと、日本経済や日本企業にも大きな影響を与える。トランプ政権の2期目の幕開けで、経済や株・為替市場はどう動くのか。激変する世界の行方を徹底検証する。
トランプ氏、今度はBRICSに「脱ドル推進なら100%関税」宣言
11月5日に投開票された米大統領選挙で共和党のドナルド・トランプ前大統領が勝利した。「米国第一」を掲げるトランプ氏の復権は、米国経済はもちろんのこと、日本経済や日本企業にも大きな影響を与える。トランプ政権の2期目の幕開けで、経済や株・為替市場はどう動くのか。激変する世界の行方を徹底検証する。
共和党トランプ政権誕生でどうなる?ドル高円安の先を予測 | 高島修
長短金利をみてみると、11月の利下げ後のFFレートの誘導目標は、4.5~4.75%である。長期金利は4.4%台まで上がっていて、これはほぼ同水準だ。ここには短期金利の見通しの変化が背景にあるのだろう。今後は、短期金利があまり下がっていかないだろうという予想なのだ。従来の短期金利>長期金利の図式、つまり長短金利の逆転が続いてきた。しかし、それは解消する手前までやってきている(図表2)。FRBは、9月時点で2025年中▲1.00%ポイントの追加利下げを予告しているが、長期金利はその利下げをあまりカウントしていない水準で推移している。これは、潜在的なインフレ圧力を見込んでいるということだ。そして、FRBがどこかで利下げを休止して、いずれ利上げ方向に転じてもおかしくはないことを見込んでいるのだろう。米金利のイールドカーブは、1~3年にかけて4.2~4.3%程度になっている。
ドル高かドル安か、トランプ氏は予測不可能 LA発ニュースを読む
ナショナルオーストラリア銀行(NAB)のストラテジスト、ロドリゴ・カトリル氏は「ドルが引き続き支配的である状況には幾つかの理由がある。ドルは世界で最も流動性の高い通貨であり、自由に取引され、世界の貸し出し通貨でもある」と指摘。その上で、「トランプ氏がBRICS諸国に対する圧力を強めれば、ドル離れが加速する可能性もある」と付け加えた。
トランプ氏勝利で株急伸 一時1400ドル高、円は急落―米大統領選
筆者が少し不思議に思うのは、米株価が大きくは下がらないことだ。株価はこれまでFRBの利下げ予想を織り込んで上がってきた。ならば、トランプ当選で金融緩和期待は剥落しているのに、なぜ株価は大幅に下がらないのか。これも、ドル高と同じく、潜在的なトランプ・トレードの押し上げ圧力が見た目以上に強いことを示唆している。
「脱ドル体制なら関税100%」 トランプ氏、BRICSをけん制
国際決済銀行(BIS)が2022年に発表した3年に1回の調査結果によると、1日当たり7兆5000億ドル(約1100兆円)の外国為替市場取引におけるドルのシェアは約88%。
NYダウ、初の4万5千ドル トランプ政権期待、リスク織り込みは?
今後の円安進行で気になるのは、日本の通貨当局が為替介入に打って出るかという論点だ。2024年4月29日・5月1日には介入を実施している。為替相場が連休前に1ドル153~155円で膠着していたところから、一気に156~157円に円安が進んだところで、頭を押さえるように9.8兆円の為替介入が行われた。このときは随分と投機色が強かった。現在は、シカゴのIMM通貨ポジションは、以前よりも円売り方向になってきたが、4・5月ほどは投機筋の円売りポジションが膨らんでいない。だから、今のところ実勢を反映した円安に見えるが、円安の勢いが強いと介入の可能性は高まっていく。
共和党のトランプ氏の勝利により、FRBによる利下げの可能性が減少する可能性が高いことから、為替市場はドル高の流れが続くとの見方が出ている。
BRICS諸国は世界の中央銀行準備高の40%以上を占めており、ドル依存を減らす方法を議論してきた。その中には、BRICS諸国間で使用する単一通貨構想も含まれる。
【土田陽介のユーラシアモニター】共和党トランプ主義者が議論する、ドル離れを図る新興国に対する制裁
さて、日銀はどうだろうか。衆議院選挙で与党が敗北して、筆者は日銀の年内利下げはないと思った。しかし、ここにきて12月利上げの公算は高まっている。来夏に参議院選挙を控えた石破政権は、物価上昇の再加速を快くは思わないだろう。秋の経済対策の吟味も行われている。日銀は、クリスマス商戦を念頭に置き、「米国経済の見極め」を行うつもりだ。このアナウンスは、2024年12月か、2025年1月のいずれかに利上げをする意向を示すものだ。それに対して、足元の円安進行は12月利上げの可能性を高めるものだろう。近々、財務官や植田総裁から円安への口先介入が行われるだろう。そうした展開になれば、12月利上げは近いというシグナルだと考えられる。
ドル円相場11/25週振り返り トランプ次期政権の関税政策受け円高へ
トランプ氏は11月30日に自身のソーシャルネットワーク「トゥルース・ソーシャル」への投稿で、主要新興国で構成される「BRICS」諸国に対し、貿易などで米ドルの代わりに使用する新たな通貨を創設しないという確約を求めると述べ、脱ドル化を進めれば100%の関税賦課も辞さない考えをあらためて示した。
トランプ・ショックで為替相場がドル高・円安に進んだ理由 | 高島修
しかし、トランプ氏に対して、政府・日銀が為替介入を実施することはあまり見栄えがよくない。ドル売りだからよいではないかという意見もあろう。それでも、為替操作をすること自体が火種になる可能性があるので、筆者は口先介入は行われても、結局、通貨当局は実弾を撃たずに済ませるとみる。むしろ、動くのは日銀の方だろう。
豪ドル、一時急落 99円割れ目前 トランプ関税で経済見通し懸念
外交問題評議会のシニアフェローで、オバマ政権時代の元米財務省高官ブラッド・セッツァー氏は「良い印象を与えない」と述べ、「ドルに対する信頼の欠如を示唆している」と指摘した。